北埔の夜には、今までに見たことのないような、深い静けさがあります。

昼間、老街を行き交っていたにぎわいはいつしか消え、残るのは月明かりと静寂だけ。そのやわらかな月光は、部屋の壁にほんのりと青い光を映し出し、夜の静けさと重なりながら、夢と現実の境目にいるような気持ちにさせてくれます。まるで月が筆をとって、この山あいの町に深い静けさを描いているかのよう。そしてその光は、私たちが日常で見落としがちな美しさをそっと思い出させてくれます。立ち止まってみましょう。本来、暮らしとはそういうもの。

時が流れるその一瞬一瞬が、かけがえのないものなのです。